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カヤ(榧)

商品写真
上:広島 三段峡 カヤの青い実 
下:京都山科 随心院 小野小町に因んだカヤの木。

カヤ(榧)Torreya nucifera Siebold et Zuccarini 
 種子植物門 裸子植物亜門 Gymnospermae
   マツ亜綱 Pinidae ヒノキ目 Cupressales   
     イチイ科 Taxaceae  カヤ属Torreya

生薬名  :ヒジツ(榧実)
利用部分 :種子
利用   :民間薬
名前の由来:枝葉を炊いて蚊遣りにしたからともいわれる。

イチイと異なり暖地に分布し、大木になると高さ25m、直径2mにもなる常緑高木。常緑の照葉樹林の中にまばらに生える。材質はやや重硬で弾力があり、耐朽性・保存性が高く比較的加工しやすい。碁盤の材料として有名。
横枝の葉はきれいに左右2列に並び、線形で長さ2〜3cm、硬く先は尖り、さわると痛い。葉の裏は黄緑色、2本のへこんだ黄白色の気孔条が通っている。
雌雄異株、4〜5月に開花する。雄花は前年の枝の葉腋に1個ずつ附き、楕円形で長さ7mm。雌花は新しい枝の下部葉腋に2個ずつ附き、翌年秋に果実となって成熟する。果実は楕円形で長さ3cm。中にアーモンドのような種子が入っている。

カヤの種子をヒジツ(榧実)といい、十二指腸虫の駆除に使われる。
種子の胚乳には多量の脂肪油が含まれ、良質の食用油、整髪油、塗料など多方面に利用された。


カヤの実は小野小町を思う深草少将の百夜通いに登場する。深草少将は通った日ごとに1個ずつカヤの実を小町に届けたという。結果は99日目の少将の死で悲しい結末に終わるが、小町は少将を偲び少将の通った道に99個のカヤの実を植えたという。今は周囲の開発で全く往時を偲ぶことはできないが、小町ゆかりの小野 随心院にカヤの大木が1本、裏庭に植えられている。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)

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