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イチョウ（銀杏）

商品写真
上：徳島　大山寺の枝垂れイチョウ
下：東大阪石切神社参道のイチョウ　雄木の雄花

イチョウ（銀杏）Ginkgo　biloba　Linne
　種子植物門　裸子植物亜門 Gymnospermae
　　イチョウ亜綱 Ginkgoidae　イチョウ目 Ginkgoales　　　
　　　イチョウ科 Ginkgoaceae　イチョウ属 Ginkgo　

　認知症改善に注目のサプリメント

生薬名　　：ハクカ（白果）
利用部位　：�ー鏤辧穂�乳部分）�⇒佞�らの抽出物
利用　　　：�／�用、薬用　　�▲汽廛螢瓮鵐�
名前の由来：葉が１枚であることからイチヨウ(一葉)の意味。他漢名の銀杏をイキャウと発音、
　　　　　　此れがなまってイチョウになったなど諸説あり定まらない。

鮮やかな黄色に色づくイチョウの木々は本格的な冬の訪れと共に、木々が眠りにつく前、命の一瞬の輝きを放つ光芒のようにも思える。
イチョウは水分が豊富で火災にあっても枯死しないほどのたくましさがあり、防火用に神社仏閣、街路樹に植栽される。樹齢何百年もの巨木が各地に多数見受けられ、天然記念物に指定されたりしている。本Photoも樹齢、約８５０年、町の天然記念物の枝垂れ銀杏（また弁慶銀杏とも）。昔、屋島の源平合戦の折、戦勝祈願に訪れた源義経の供をしていた弁慶が、兵糧の銀杏を１粒撒いたのが成長したと伝えられる。

イチョウは現在私たちの身近に見受ける植物よりもはるか昔、地球上に繁茂していた古代植物の唯一の生き残り。中生代ジュラ紀、約１億９千万年前、地球上を恐竜が生息していた時代には、多くのイチョウの仲間の裸子植物が繁茂していたが、地球規模の大変動により大多数は消滅したが唯一イチョウのみが生き残った。１科１属１種を形成する特異的な存在。雌雄異株の落葉高木。

普通の植物は開花後、受粉すると間もなく受精し結実するが、イチョウは４〜５月頃開花、花粉は風で飛ばされ雌花に付着、雌花の胚珠中の花粉室で生育し、花粉は約５ケ月間の準備期間を経て精子を作る。９月頃、１個の花粉から２個の精子が遊走し卵に受精するという特異的な繁殖を示す。

秋、色づいた実は果実のように見えるが種皮に包まれた種子で外種子と内種子からなっている。
外種子は多肉質で特有の臭気があり、皮膚につくとかぶれて炎症を起こす。内種皮は白くて硬く、ギンナン（銀杏）と称し殻の中の黄緑色をした胚乳部分は「デンプン、タンパク質、脂肪、ビタミンC、カロテンを含有し、炒ったり茶わん蒸しなどに食用とするが、中国ではハクカ（白果）と称し鎮咳の効ありとして薬用とする。

近年、銀杏葉より製したエキス製剤が、脳血流を増進し脳機能障害の改善効果があるとしてフランスやドイツでは認知症、加齢性記憶障害、間歇性跛行の治療薬として承認されている。（日本では医薬品ではなくサプリメントとして用いられる）

イチョウ葉の抽出物には、抗酸化作用や血管拡張作用を持つ、フラボノイド（ルチン、ケルセチン）、血小板活性化因子（ＰＡＦ）の阻害・抑制作用や、脳神経覚醒作用のあるテルペノイド（ギンコライド及びビロバリド）が含まれていることが分かり、これらが相乗的に作用することで、認知機能の改善などの効果が現れると考えられている。またコリン作動性神経にも作用する可能性が示唆されている。

但し、イチョウの果肉には有毒アレルギー成分であるギンコール酸(ginkgolic acid)を含んでいて、葉や種仁にも含まれるので、イチョウの葉を煎じて用いるのは危険で、特殊な抽出方法によりギンコール酸を除去したものでなければならないとされている。
　
サプリメント、
　・イチョウ葉が効果的な人：アルツハイマー病や多発性脳梗塞による早期認知症がある人　　
　・　〃　　　が不向きな人：糖尿病のある人（インスリン活性に影響を与えるとされている）、
　　　　　　　　　　　　　　手術を予定している人（出血リスクが高くなるため）

イチョウは精子によって受精がおこなわれる。
１８９６年（明治２９年）平瀬作五郎よって精子が発見されたイチョウの木
　　　イチョウ小石
東京都文京区　小石川植物園
　
１８９６年（明治２９年）平瀬作五郎によって種子植物で初めて精子が発見されたイチョウの木
当時、東京帝国大学植物学教室の助手をしていた平瀬はこの雌木のイチョウの若い種子から精子を発見した。
種子植物は全て花粉管が成長し造卵器に達して受精すると思われていたのでこの発見は世界の学会に大きな反響をもたらした。このイチョウ精子発見は後の池野成一郎のソテツ精子発見と共に日本の近代植物学の発展期における最大の貢献と言われている。（小石川植物園、イチョウの案内プレートより一部引用）

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・日本の樹木（山と渓谷社）
　　・食材図典　（小学館）
　　・花と樹の事典　木村陽二郎（柏書房）
　　・植物分類表　大場秀章　編著（アボック社）

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