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マツ/クロマツ(黒松)

商品写真
上:琵琶湖 多景島 新枝の下部に群がって付く雄花 
中・下:須磨寺 新枝の先の紅紫が雌花

マツ/クロマツ(黒松) Pinus thunbergii Darl 
 種子植物門 裸子植物亜門 Gymnospermae
  マツ亜綱 Pinidae
    マツ目 Pinales   
     マツ科 Pinaceae マツ属 Pinus
 
別名:オマツ(雄松)

テレピン油、ロジン(ロコホニウム)原料  

生薬名  :ショウシ(松脂)
利用部分 :傷をつけられた樹幹から分泌する樹脂
利用   :日本薬局方生薬ロジン、軟膏原料、工業用
名前の由来:マツには 諸説あるが、一例として神聖な木、神の降臨を「待つ木」の意味。

マツ科の中でもマツ属の種類は最も多く約100種、熱帯を除く北半球に広く分布する。
燃料や建築資材、テレピン油を取るための樹脂採取、種子を食用とするなど極めて利用価値が高く、古くから私たちの生活と密接に結びついてきた。そのため野生種のみならず、各地で植林が盛んに行われてきた。
2本、3本、5本と葉が束になった種類があり、それぞれ二葉松類、三葉松類、五葉松類と呼ぶ。
二葉松類では、クロマツ、アカマツ、リュウキュウマツの3種が本邦に自生。五葉松類ではゴヨウマツ、高山に生えるハイマツ、チョウセンゴヨウなどが挙げられる。

アカマツ、クロマツなど Pinus 属諸種の樹幹を傷つけてセイショウシ(生松脂)、別名、テレピンチナを採る。自然に精油が揮発して乾燥固結したものはショウシ(松脂)Pine resinという。
テレピンチナを蒸留して得た精油をテレビン油。主成分はモノテルペンα-pinene、β-pinene、この際残った不揮発性の樹脂分をロジン(主成分はジテルペンabietic acid)という。テレピンチナは樹脂(ロジン)60〜80%、精油(テレピン油)20〜30%、その他を含む。テレピンチナは樹脂(ロジン)精油(テレピン油)の原料となるほか硬膏、軟膏の基礎剤となる。ショウシ(松脂)は、松脂硬膏原料、ロジンは絆創膏などの硬膏基礎剤のほか塗料、石鹸、ワックス、印刷インキなど工業上の用途は広い。又スポーツ用の手の滑り止めとする。テレピン油はワニス、ペイントの溶剤にするなど極めてひろく用いられている。


マツの実を乾燥したものをカイショウシ(海松子)といい60%を超える脂質のほか微量元素も含まれ、独特の香りを持つことから、健康食品としていろいろの薬膳料理に使われる他、菓子等にも使用される。
また、フランス海岸松の樹皮から抽出されるピクノジェノールを多く含むエキスは、サプリメントに利用されている。

マツの実 カイショウシ(海松子)
 Pine nut

  マツの実   

マツ約100種類ほどあるが、日本で食用に松の実として市販されるのは中国東北部から朝鮮半島、日本の中部、四国に分布するチョウセンゴヨウマツ(朝鮮五葉松)の種子。食用部分は種子の胚乳組織で昔から仙人の霊薬といわれている。リノール、リノレ酸など動脈硬化の予防効果が期待できる不飽和脂肪酸、タンパク質、鉄、カリウム、ビタミンB1、B、抗酸化作用のあるビタミンEを多く含み、血管を若々しく保つ健康食品。味は淡白で軟らかく美味しい。そのまま食べれる他、菓子や中国薬膳料理に使われる。漢方では肝臓に良いとされている。
海外ではコロラドマツ、ポルトガルマツ、スペインマツなどの種子が食用になる

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・日本の樹木(山と渓谷)
  ・花と樹の事典 木村陽二郎 柏書房
  ・食材図典  (小学館)
  ・食材事典 原田孝子監修 (学研)
  ・新食品成分表2017 (とうほう東京法令)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)



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