名前から探す ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行    
用途から探す 漢方薬 製薬基源植物 日本薬局方生薬 民間薬・薬用 ハーブ・サプリメント 香料・香辛料 食用と嗜好品 染色・繊維 油脂 鑑賞用・その他    

ヒトツバ(一ツ葉)

商品写真
上・中:琵琶湖 多景島 岩上のヒトツバ 
下:三保の松原 御穂神社のクスノキ 

ヒトツバ(一ツ葉)Pyrrosia lingua Farwell
 シダ植物門 Pteridophyta 大葉シダ
   薄嚢シダ亜綱Polypodiidae
    ウラボシ目 Polypodiales 
     ウラボシ科Polypodiaceae ヒトツバ属 Pyrrosia 

生薬名  :セキイ(石韋)
利用部分 :全草(秋に採取)
利用   :民間薬
名前の由来:シダ植物の多くが羽状複葉になる中で、複葉にならず1枚の単形であること由来。      

東南アジアに分布し日本で、は関東地方以西の本州、四国、九州、南西諸島などの暖地の乾燥した岩上や木の幹に群生する多年生の常緑シダ。
茶褐色で針金状の根茎を岩上や木の幹に長く伸ばす。長い地下茎から長さ30cm程の一つ葉を次々と形成する。シダ類の仲間であるにもかかわらず、乾燥を好むことや葉も羽状複葉にならず、単葉であることなど少しシダのイメージとは異なる。葉はゴワゴワして厚い。胞子の附く葉は細長く裏面の大部分が胞子嚢で覆われ茶褐色をしている。胞子嚢の付かない葉は幅が広い。

中国では全草をセキイ(石韋)といい利尿作用があることから、淋病の治療の目的で使用した。
セキイ(石韋)の名は中国の薬物書を著した有名な陶弘景(452〜536)によると「石上に蔓延して葉が生え、石の皮のように見える。故に石韋と名付けた」ことによる。


ヒトツバの群生を見た松尾芭蕉は、繁茂しても一つ葉以上に茂らない様子を
      「夏来ても ただ一つ葉の ひとつかな」と詠った。



参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・野草の名前 秋冬 高橋勝雄 解説(山と渓谷社)
  ・山野草 ハンドブック 伊沢一男著(主婦の友社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 アボック社

科目別の一覧