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ナンバンカラスウリ(南蛮烏瓜)

商品写真
Photo:日本新薬 山科植物資料館 上・中:ナンバンカラスウリの雄花 下:赤く熟した果実

ナンバンカラスウリ(南蛮烏瓜)Momordica cochinchinensis Sprenger
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
  ウリ目Cucurbitales
     ウリ科Cucurbitaceae ツルレイシ属Momordica

 別名:ナンバンキカラスウリ(南蛮黄烏瓜)
 ベトナム語:ガック ガックフルーツ


生薬名  :モクベツシ(木鼈子)
利用部分 :種子、根
利用   :薬用 食用 
名前の由来:種子の外面が木質で黒く、スッポンの形に似るのでモクベツシ(木鼈子)

台湾、華南、タイ・ラオス、ミャンマーカンボジアなどのインドシナの山地、林縁に野生する大形のつる性植物。薬用、食用にするため栽培もされる。葉は大型の掌状で5〜7裂に切れ込み、互生する。夏、淡い黄色の5弁の花を咲かせる。
雌雄異株で、雄花株、雌花株の両方ないと結実しない。花の外観では区別しがたいが、雄花には大きな苞があり、雌花は他のウリ科植物と同様、花の基部が膨らんでいて、将来実になるので、直ぐに分る。受粉後約1ヶ月で楕円形の果実は大きくなる。

長楕円形の果実は、長さ10〜15cm、最初青く、熟するにつれ、真っ赤になる、果皮は全体に短い棘状突起がある。1個の果実の中には30〜40個の仮果皮に包まれた核がある。完熟すると赤橙〜赤色になる仮果皮を除き乾燥させたものが生薬のモクベツシ(木鼈子)。黒く扁平、堅い形がスッポンに似るので名がある。

種を除き仮果皮部分や果肉部をもち米と混ぜて炊き込むと”濃い赤色のおこわ”になる。べトナム料理、ソーイ・ガックで祝い事に食べられる。

赤いのは豊富なβカロテンやピコペンを含むためで、脂溶性ビタミンEも多い。健康食品としても有望なガックフルーツ。今後トロピカルな果実として重要視されるかもしれない。乾燥種子にはモモルジン酸、ピペコリック酸を含み抗炎症、解毒薬として、痔疾、膿腫、できもの、乳腺炎などに主に外用される。又骨折、脱臼にも外用される。根にはサポニンのモモルジンを含みセネガ根、キキョウ根、ザボンソウ根同様、去痰作用があり、去痰薬として利用する。

参考文献
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著(広川書店)
  ・原色和漢薬図鑑 下 難波恒雄著 (保育社) 
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)



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