ユウガオ（夕顔）

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上：筆者栽培　ユウガオの雄花　
中･下：大阪薬科大学薬用植物園　ユウガオの花と果実

ユウガオ（夕顔）Lagenaria siceraria var. hispida
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　ウリ目Cucurbitales
　　　　　ウリ科Cucurbitaceae ユウガオ属Lagenaria

利用部分　：①未熟果実　②完熟果実
利用　　　：①食用　かんぴょうの原料　>②工芸品に加工
名前の由来：初夏の夕方5時頃開き、翌朝にはしぼむのでヒルガオ科のアサガオやヨルガオに対し
　　　　　　ユウガオの名がある

ユウガオという優美な名は”源氏物語の夕顔の巻”の名でもあるのでその名前は広く知られている。
登場する女主人公が詠んだ和歌「心あてにそれかとそ見る白露の光添えたる夕顔の花」に因み、夕顔の巻、女主人公を夕顔という。美しい登場人物をユウガオの夕べに白く咲き、朝方にはしぼむはかない花で象徴した巻である。その頃からユウガオの花は優しく美しい花として観賞されていた事が伺える。
ユウガオの実が食べられるようになったのは苦味が少ない品種、丸ユウガが選別されてから。

ユウガオはアフリカ、インド、タイなどのアジアの熱帯地方が原産。温帯で栽培される。ウリ科で観賞用、実用にするために栽培されるヒョウタンと同一種。
ヒョウタンは食べられないがヒョウタンの苦味（ククルビタシン）の少ない品種が選別され食用に適するように改良されたものがユウガオ。

大きな実を実らせる。葉はハート形の心臓形、浅く掌状に切れ込む。初夏、葉腋に先が深く５裂する直径１０ｃｍ程の白い合弁花を咲かせる。雌雄異花、実がなるには花粉の媒介が必要。開花受粉後２０日ほどするとの果実を収穫する。
トウガンと同様、クズあんかけ、そぼろ煮、漬物にもされるが最大の利用はかんぴょう（干瓢）に加工すること。かんぴょう専用の品種、ユウガオの実を薄く長く削り干して造る。

かんぴょうの産地は元来、近江の水口であったが、水口城主鳥居家が下野の壬生城に移封になった時、近江から種を持参しユウガオの栽培法を伝え殖産興業政策に勤め、かんぴょう生産の礎を築いた。現在では栃木県がかんぴょう国内生産８割を占めている。

スイカ栽培には、スイカの根から入る蔓割り病を防止するため、スイカは通常接ぎ木栽培を行う。ユウガオはスイカの台木に使われる。その他、食用だけでなく完熟した果実は孔をあけ中の種子を取り出し、乾燥させた後、炭入れ、花器、盆などに加工される。

ヒョウタン（瓢箪）に含まれる苦味成分ククルビタシンは植物性自然毒で食べると吐き気、嘔吐腹痛、下痢などの消化器系の食中毒を起こすので、食べてはいけない。同様にユウガオも食用に適する品種が選別されているが、まれに高ククルビタシン含有の品種の場合もあるので、苦味があるものは要注意。食べてはいけない。
ユウガオはスイカの台木にも使われる。スイカの根から入る蔓割り病を防止するため、スイカは通常接ぎ木栽培を行う。このためまれに台木から苦味のユウガオが出来るが、このような苦いものは食べないよう要注意。

　　ヒョウタン（瓢箪）Lagenaria siceraris Stand Var gourda Hara とユウガオの果実
　　　　　

　　　　　Photo：日本新薬　山科植物資料館　棚つくりのヒョウタンとユウガオ

名前の似た花、ヨルガオ（夜顔）
　　　　　ヨルガオ2

　　　　　Photo：京都府立植物園　ヒルガオ科ヨルガオ属のヨルガオ

夜咲くことからユウガオと呼ばれたこともあるが“かんぴょう”をつくるための栽培されるウリ科のユウガオと混同するので、ヨルガオの名が使われる。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・食材図典　　（小学館）
　　・花と樹の事典　木村陽二郎監修　（柏書房）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）
　　・厚生労働省ホームページ　自然毒のプロファイル　高等植物ユウガオ

ユウガオ（夕顔）

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