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オオグルマ(大車)

商品写真
上・中・下:大阪薬科大学 薬用植物園

オオグルマ(大車) Inula helenium Linne
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
>キキョウ群Campanulids
  キク目Asterales
     キク科Asteraceae  オグルマ属Inula

 英名:エレキャンペ−ン Elecampane
 別名:スカブワートscabwort


生薬名  :ドモッコウ(土木香)
利用部分 :根(2〜3年を経た根を秋に採取)、根茎
利用   :薬用
名前の由来:オグルマ(小車)に対して大きいのでオオグルマ(大車)に。
      学名 イヌラ・ヘレニウム Inula heleniumはギリシャ神話のヘレネ(スパルタ王の
      妻でいわゆるトロイのヘレン)に由来。
      ヘレネが流した涙からこの花が生まれたとされている。

ヨーロッパ、北部アジアが原産、また栽培もされる。本邦でも栽培する多年性草本。草丈1〜2mと大型。葉は大きく広い楕円形。先は尖り、葉の縁は粗い鋸歯になっている。茎葉は茎を抱く。根生葉は長さが80cmにもなり大きい。花期は6〜9月 黄色の頭状花を咲かせる。

根をドモッコウ(土木香)といい、精油(アラントラクトン、ジハイドロアラントラクトン)イヌリン、糖類などを含み、欧州ではビクトリア朝時代までは、最も重要な薬用植物だった。
かっては、強壮薬としても、胆汁分泌を促進し消化不良、消化力低下に刺激を与えるなど肝臓疾患にも用いられてが、今日では去痰作用があることから喘息、気管支炎など呼吸器疾患に主に使用される。その他発汗、利尿作用もある。

本邦では家庭薬原料になる。別名スカブワートscabwor(疥癬草)の名が示すように長らく疥癬、ヘルペスその他の皮膚感染症に外用薬としても用いられた。
アラントラクトンは抗菌、抗真菌作用があると同時に、体内の寄生虫を駆除する作用もある。
含有成分のイヌリンは本種の属名Inulaから名づけられた。


生の根はバナナのような香りがする、乾燥するとスイートバイオレットのような香に。2〜3年経て指くらいの大きさになった根を乾燥させ、砂糖漬け、菓子原料、ワイン、リキュールの風味づけに用いる。花の乾燥したものは木灰を媒染剤に使うと、黄色ではなく青色の染料が採れる。

成分
 ・精油(4%以下)
   アラントラクトン、ジハイドロアラントラクトン、イソアラントラクトン、アズレン
 ・イヌリン(44%以下)
 ・ステロール、糖類、その他

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・原色和漢薬図鑑 上 難波恒雄著 (保育社) 
  ・ハーブ 亀田龍吉著 (山と渓谷社)
  ・ハーブ大全 リチャード・メルビー著 難波恒雄日本語版監修 (小学館)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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