キクイモ(菊芋)

商品写真
上・中:吹田市江の木公園 キクイモの花
下・下:南信州昼神温泉 キクイモ栽培畑

キクイモ(菊芋)Helianthus  tuberosus Linne
双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids
>キキョウ群Campanulids
   キク目Asterales
     キク科 Asteraceae ヒマワリ属 Helianthus
 
  仏名:トピナンブール
  英名:エルサレムアーティチョーク Jerusalem artichoke
 

 イヌリン 果糖製造原料

利用部分 :塊茎
利用   :食用 薬用
名前の由来:一重咲きのキクに似た花と、塊茎が芋のようで食べることが出来る
      種小名tuberosusは塊茎があるの意味、トピナンブールは北アメリカの先住民
      トピナン族に因んだ名

北アメリカ原産で繁殖力は極めて旺盛、世界中の温帯に広く帰化している多年生草本。地下茎の先に不規則なショウガに似た小さい塊茎ができる。アメリカの先住民たちは野生種を採取し食料にしていた。ヨーロッパには17世紀になって入り食用として導入され、フランスではトピナンブールの名で大量に栽培される。
日本へは幕末の文久年間、イギリス公使オールコックにより、イギリスからもたらされた。
春に芽を出し、茎は太く直立し1.5〜2m近くまで伸びる。茎の上部で枝分かれする。葉は大きな卵形、先が尖り、茎の下部では対生上部では互生する。縁は不規則な鋸歯(ギザギザ状)があり、両面とも短毛が生えていたザラつく。花は秋9〜10月、枝先に直径6〜8cmの大型の黄色い花を咲かせる。外側の舌状花は10〜12枚。中心の管状花も濃い黄色。

塊茎には甘味があるが、デンプンやショ糖ではなくイヌリンという成分が含まれる。イヌリンはダリアなどキク科植物に含まれるが、キクイモには特に多く10数%のイヌリンが含まれる。
イヌリン、果糖、飴の製造原料になる。又、アルコール発酵、アセトンヤブタノール発酵の原料にもする。


戦中戦後の日本の食糧難時代は各地で栽培され食用や家畜の飼料にされた。現在はあまり栽培されなくなったが、かって栽培されたものが逸脱し野生化して道端や荒地、農耕地まで侵入して問題になっている。
開花後1カ月を経て葉が枯れてきた頃掘り出す。皮をむき煮物や漬け物(味噌漬け、粕漬け)にも利用できる。淡白な味でサラダなどの生食や天ぷらにしても美味しい。

主成分イヌリンはデンプンなどと異なり、人の消化管では消化されない。そのため摂取しても食後の糖の吸収が抑えられ食後過血糖にならない。近年は糖尿病の人に向く機能性食品として、その効果が期待されている。各地の道の駅の野菜売り場などで良く販売されている。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・野草の名前 秋冬 高橋勝雄 解説(山と渓谷社)
  ・食材図典 (小学館)
  ・おいしい山菜 ハンドブック おくやまひさし著 文一総合出版
  ・ハーブ 亀田龍吉著 (山と渓谷社)
  ・山野草 ハンドブック 伊沢一男著(主婦の友社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)


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