カノコソウ（鹿子草）

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上：東京薬科大学薬用植物園
下：東京都薬用植物園　品種、北海吉草のカノコソウ

カノコソウ（鹿子草）Valeriana fauriei Briquet
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類AsteridsCampanulids
　マツムシソウ目Dipsacales
　　　スイカズラ科Caprifoliaceae　カノコソウ属Valeriana（←オミナエシ科Valerianaceae）
　
　別名：ハルオミナエシ(春女郎花)
　英名：Japanese Valerian

生薬名　　：キッソウコン（吉草根）
利用部分　：根、根茎
利用　　　：薬用、日本薬局方、カノコソウ末、カノコソウチンキ原料
名前の由来：花の内側は白く、外側は淡い紅色のため、開いた花と蕾が混じっていると花序が紅白
　　　　　　の絞り模様、鹿の子のように見えることから。

北海道、本州、四国、九州山中の木陰の湿地に自生する多年草。近年は自生を見かけることは少なく、主に薬用に栽培される。朝鮮半島、樺太、台湾などにも自生し、寒暖どちらの土地でも適応できる。５～８月にかけて淡紅色の小さな花を固まって咲かせる。開花すると殆ど白に見える。葉は対生、羽状に深く５～７裂し、裂片は線状皮針形になる。８月下旬、地上部が黄色く枯れ始めた頃、掘り出し水洗いした後、天日乾燥する。特有の強い臭いがする。

第一次大戦当時は、鎮静薬として海外から大量の需要があり、主に神奈川県で多く栽培されていた。しかし現在は需要が減小している。栽培品種には北海吉草、亀葉吉草などの品種があり、現在は北海吉草が主に栽培される。精油（吉草油）を約８％含有し精神不安定、ヒステリー、神経過敏症に鎮静薬とする。睡眠の改善作用、リラックス効果もある。
カノコソウ末は鎮静薬、鎮痛、通経薬として婦人薬に配合される。またチンキ剤は鎮静薬として用いられる。
吉草油はタバコの香料の調合に用いられることもある。

成分
　　・精油（吉草油）
　　　　酢酸及び吉草酸のボルネオールエステル　α、βピネン、カノコノール、リモネンなど
　　・イリドイド配糖体：カノコシドA、B、C、D、パトリノシドなど

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第1７改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　　　　（株式会社エヌ・ティ・エス
　　・日本薬草全書　　水野瑞夫監修　田中俊弘編集（新日本法規）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

(コメント）
之まで、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物という方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ１が発表されされてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。その結果オミナエシ科はスイカズラ科に統合されオミナエシ科は消滅した。

カノコソウ（鹿子草）

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