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ストロファンツス・グラツス

商品写真
上・中:鶴見緑地花博記念公園 咲くやこの花館 
下:京都府立植物園 温室

ストロファンツス・グラツス Strophanthus gratus Franchet
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
  リンドウ目 Gentianales
     キョウチクトウ科 Apocynaceae  キンリュウカ属 Strophanthus

生薬名  :ストロファンツス子
利用部分 :冠毛のついた柄を除いた種子
利用   :薬用
名前の由来:Strophanthusは、ギリシャ語のStrophosねじれた紐 anthos花の2つの語から。
      花の蕾が”らせん状”にねじれて畳まれている状態に因む。

熱帯アフリカが原産のつる性低木。葉は長楕円形、無毛、全縁、花冠は他のストロファンツスのように紐状に花弁は垂れ下がらない。春から初夏にかけて大きい花を咲かせる。漏斗状の花冠は5分裂し花弁のように見える。赤みがかったオレンジ色でとげ状に副花冠が突き出ている漏斗状花冠の外側は紅紫色、内側は淡いピンク色で美しい。花の後、牛角状の長さ80cm程の大きな袋果が2個対生する。その袋果中には1000個近くの種子が入っている。種子は長さ15mm、扁平で平滑、披針形で頂端に糸状の長い柄があり、その先に多くの冠毛をつけ飛散するのに便利な形をしている。

薬用には缶冠毛のついた柄を除いた種子を用いる。種子は平滑ストロファンツス子と呼ばれ、強心配糖体、Gストロファンチン(ウワバミン)を大量に含んでいる。

熱帯アフリカの原住民たちはこの種子を付き砕き泥状にし、矢じりに塗ることが出来る程度に凝固させ、矢毒に用いていた。効力は極めて強く大きな動物にも致命的であった。
ストロファンツスは1860年 アフリカを探検したリビングストーンによって欧州に紹介され、1870年イギリスのトーマス・R・フレイザーは初めてストロファンツスチンキを強心薬として心臓病に用いた。ジキタリス配糖体に比べ効果は即効性であり作用は一時的、速やかに排泄されるのが特徴。かっては緊急を必要とする心臓病にウワバミンの名で医療の場で用いられていたが有毒で危険性もあり現在は、医療の場では用いられない。強心薬で生薬由来としては現在では、ジキリス由来のみが医療の場に供さている。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・世界を変えた薬用植物 ノーマン・テイラー原著 難波恒雄・難波洋子訳注(創元社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

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