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オウレン(黄連)

商品写真
上・中・下:西宮市北山緑化植物園 オウレンの両性花 、雄花の単性花と混在。

オウレン(黄連)Coptis japonica Makino
  真正双子葉植物 Eudicots>基部真正双子葉植物Basal Eudicots
   キンポウゲ目 Ranunculales
     キンポウゲ科Ranunculaceae オウレン属Coptis

日本薬局方では生薬オウレン(黄連)を
 ・Coptis japonica Makino(オウレン 黄連)
 ・Coptis chinensis Franchet(中国名: 黄連、味連、川連)
 ・Coptis deltoidea C. Y. Cheng & Hsiao(中国名: 三角黄連、雅連)
 ・Coptis teeta Wallich(中国名: 雲南黄連、雲連)のひげ根を殆んど除いた根茎と定めている。


生薬オウレン(黄連)はオウレンCoptis japonica Makinoの変種
 ・セリバオウレン Coptis japonica dissecta Nakai 
 ・キクバオウレンCoptis japonica var. japonica Sakata
 ・コセリバオウレンCoptis japonica var. major Satake
        をも含む、とあり”黄連”原料植物は多い


生薬名  :オウレン( 黄連)
利用部位 :根茎
利用   :日本薬局方生薬 漢方処方用薬、伝統・伝承薬原料、オウレン末原料
      植物起源医薬品(Drugs of plant origin) 塩化ベルベリン(Berberine)止瀉薬の原料
名前の由来:根が横に連なり、節から多数のひげ根をだす。根の断面が鮮やかな黄色からと、
      葉が3出の複葉。種小名japonicaは「日本の、日本産の」意味。Coptisはギリシャ語
      でコプート「切る、切り刻む」から、葉の縁がギザギザに切れ込む様子を表す。

日本特産。山地の樹林下に稀に自生するが、多くは生薬にするため栽培する常緑の多年草。短く太い根茎は斜めに地中を這い、節状に珠が連なったようなひげ根を多数伸ばす。根茎の断面は鮮やかな黄色をしていることからオウレンの名がある。オウレンは中国の呼び名で、日本古来の呼び名はカクマグサ(”加久末久佐)で硬い根の草の意味からの名前。

葉は根茎の先端部に叢生し長い柄があり3出複葉、各小葉は長さ2〜5cm、広卵形で深く切れ込む。早春、10〜20cmほどの花茎を伸ばし先端に白色の花を数輪咲かせる。花は通常、雄しべのみの雄性花と雄しべ、雌しべ両方がそなわった両性花がある。雌しべのみ雌性花は珍しい。雄性花や雄しべの方が咲きに咲く。外側の白い花弁に見えるのはガク片、ひ針形をしている。花弁はその内側にあり5〜6枚で、白い小さな線形をしている花びらが本当の花弁。多雄しべ、多雌しべで、花粉をつけているのが雄しべ。真ん中に緑か紫を帯びた突起物が雌しべ。花後、実が約10個、放射状にきれいに並ぶ。袋果の先端部分は閉じていない。熟して割れたのではなく、初めから穴が開いていて、袋果の中には多数の種子が入っていて風に揺れることで種を飛ばす。

ベルベリンが主成分で他に、パルマチン、コプチシなどのアルカロイドを含む。オウレンの苦味は黄色物質ベルベリンのためで、「良薬口に苦し」この苦味が黄連の効果で、苦味健胃薬として胃腸薬の原料として配合される。ベルベリンはグラム陽性・陰性菌ともに強い抗菌力を示す。
その他、血圧降下、神経抑制、鎮痙、利胆作用が認められている。

胃弱、食欲不振、胃部・腹部膨満感、消化不良、食べすぎ、飲みすぎ、胃のむかつき、下痢などの健胃整腸薬、止瀉薬として胃腸薬の原料にする。また漢方処方用薬であり、健胃消化薬、止瀉整腸薬、止血薬、精神神経用薬とみなされる処方、およびその他に多く配合されている。


成分
  ・アルカロイド:ベルベリン、パルマチン、コプチシ
  ・その他:マグノプロリン、フェルラ酸        など

漢方処方例
 漢方では苦味健胃整腸薬、下痢、上半身の炎症、精神不安、心窩部のつかえ等の症状を目標に
 多くの処方に配合される。
  ・黄連湯  (おうれんとう) 
  ・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
  ・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
  ・温清飲  (うんせんいん)
  ・半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
  ・甘草瀉心湯(かんぞうしゃしんとう)    
  ・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう) など          
   
参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 春 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・薬になる花 田中孝治 (朝日新聞社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著(アボック社)

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