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エンゴサク(延胡索)

商品写真
Photo:武田薬品 京都薬用植物園
エンゴサクの花と2〜3回3出複葉の葉の様子

エンゴサク(延胡索) Corydalis yanhusuo Y.H.Chou et C.C Hsu
 真正双子葉植物 Eudicots>基部真正双子葉植物 Basal Eudicots
   キンポウゲ目 Ranunculales
    ケシ科 Papaveraceae(ケマンソウ科 Fumariaceaeを含む)キケマン属 Corydalis

生薬名  :エンゴサク(延胡索)
利用部分 :塊根
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬
名前の由来:エンゴサク(延胡索)は漢方薬の生薬名をそのまま名前に用いている。
      元の名の”玄"は黒い、”胡”は西域ペルシャなどの胡の国から伝来の生薬、”策”は細長い
      の意味。エンゴサク(延胡索)の細長く黒い根の様子を表した名。

中国原産。エンゴサク(延胡索)は、元々、唐の時代はゲンゴサク(玄胡索)、ゲンコ (玄胡)、ゲンコ (元胡)と呼ばれていたが、宋の眞宗皇帝の諱(いみな)を避けてエンゴサク(延胡索)に改められた。8世紀頃までにすでに生薬として実用されていたが宋の時代までは希少で、本格的に栽培が行われるようになったのは明の時代。わが国には享保年間(1717〜1735)にはじめて、中国からもたれされたとあり、現在も漢方(後世派)の要薬で胃痛の改善を期待して安中散など配合される。

中国産の原植物は長い変遷の後、もとはどれに該当するのか分らなくなり、おそらくエゾエンゴサクC.ambigua Cham.et. Schlechtに近縁の C.yanhusuo W.T.Wangや成分的にC.turtschaninovii Besserに近縁であるとされるなど、諸説あり現在はエンゴサクは、C.turtschaninovii Besser forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C Hsuの塊茎とされている。日本薬局方もこれを原植物とする。

互生する葉は2〜3回3出複葉。2回分裂葉の小葉は深く5〜7裂する。裂片は長楕円形で全縁(ギザギザはない)。早春、総状花序を頂生し淡い紅紫色の管型の花を横向きにつける。花冠の先端は唇形に開き、尾部は延伸し長い距になっている(他のエンゴサクの近縁種に共通の花の形)

初夏の頃、茎葉が枯れると塊根を堀り上げ、洗浄した後、沸騰した湯で内部が黄変するまで煮て日干し乾燥する。
主として漢方処方薬。鎮痛、鎮痙、浄血、駆瘀血薬として頭痛、胃痛、腹痛、胸焼け、月経痛など
婦人薬とみなされる処方に配合される。特に月経不順による下腹部の痛みに良い。また鎮痛鎮痙作用から胃腸薬、抗潰瘍薬に配合される

成分
 アルカロイド:コリダリン、プロトピン、テトラヒドロパルマチン、テトラヒドロコプチシン

漢方処方例
 ・安中散 (あんちゆうさん)
 ・牛膝散 (ごしつさん)
 ・折衝飲 (せつしょういん)

キケマン属 キケマンとは
  キケマン(黄華鬘)Corydalis heterocarpa Siebold et Zucc. var. Japonica
      ケシ科 Papaveraceae(ケマンソウ科 Fumariaceaeを含む)キケマン属 Corydalis

キケマン
     Photo:石清水八幡宮 参拝登山道

草丈さ40〜50cm程、互生する葉は3〜4回3出羽状複葉で細かく細裂している。全草は軟らかく粉白色を帯び、花期は3〜5月、総状花序を出し、多数の黄色で筒状の花を横向けに咲かせる。後方に少し膨れた距(きょ)と太く赤をおびた茎が特徴。



参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書(広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・原色和漢薬図鑑 上 難波恒雄著(保育社)

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