ホウレンソウ（菠薐草）

商品写真
Photo：奥播磨　かがしの里の畑

ホウレンソウ（菠薐草）Spinacia oleracea　Linne
　　真正双子葉植物 Eudicots＞中核真正双子葉植物 Core Eudicots
　　　ナデシコ目 Caryophyllales
　　　　 ヒユ科 Amaranthaceae　ホウレンソウ属 Spinacia（←アカザ科 Chenopodiaceae）

利用部分　：全草
利用　　　：食用
名前の由来：西域のネパールから伝来したことから「頗稜（ホリン）国」（ネパールの地名）が
　　　　　　使われていたが後 “菠薐（はりょう）”の字が当てられポーレンと称していたのが
　　　　　　日本では“ホウレン”になりさらにソウが加わり”ホウレンソウ“になった。

原産国と分布
コーカサスからイランにかけての西アジアが原産と言われている。中国には西アジアからネパールの僧により唐の時代に伝わり、改良が加わり、秋播きに適した東洋種が生まれた。
一方イランから１０世紀ごろヨーロッパに伝わった系統は長日条件下でも“とう”がたちにくい品種が主に北ヨーロッパで育成され西洋種が生まれ１５世紀には広くヨーロッパに普及した。アメリカへはヨーロッパ経由で16世紀初期には伝わった。
日本へは1７世紀初期、中国から東洋種が伝来、唐菜（からな）、赤根菜（あかねな）の名で各地に普及した。１９世紀後半以降、西洋種が導入され、現在は、東洋種、西洋種との交配により、交雑種の育成が進み、通年を通し栽培される。

特徴
ホウレンソウはアブラナ科のハクサイ、キャベツなどの葉菜、ネギ科のネギ類とともに最も身近な野菜として、お浸し、あえもの、炒め物、汁物の具など私たちの食卓には欠かせない。随分以前、ホウレンソウを食べるとス−パ−パワ−を発揮するポパイというキャラクターが活躍するアニメがあった。ポパイの活躍が宣伝効果となり、ポウレンソウは体に良いという考えが一般に受け入れられるきっかけになった。
実際ホウレンソウは栄養価も高く、ビタミンA、C、Ｂ、βカロテン、葉酸、鉄分、カルシウム、クロロフィルを含む代表的な緑黄野菜。
特に葉酸はビタミンＢ群の１種でビタミンＢ12とともに正常な赤血球をつくるのに不可欠なほか、アミノ酸代謝、タンパク質、核酸の合成、細胞分裂、発育促進など多方面に関与する。この葉酸が発見されてのもホウレンソウの葉からで、そのことから葉酸と名付けられた。貧血防止や貧血改善の意味からも鉄分の吸収を促す、ビタミンＣが豊富なホウレンソウを摂取したい。

葉酸　foric acid
ビタミンＢ群の一種。「造血のビタミン」と称されビタミＢ１２と協力し赤血球の産生に働き貧血を予防する。またタンパク質合成や遺伝情報を持つ核酸の合成に働き体の発育、細胞分裂を促す。特に妊娠、授乳中は特に大切になる。妊娠中の葉酸不足は胎児の脳や神経の発育にも影響する。高齢者では認知障害に原因の一つと考えられている。

奥播磨　かがしの里
兵庫県姫路市安富町関地区
姫路市だが中心部より外れた山間部の集落。周囲を山に囲まれた長閑な日本の原風景のような集落。
人口減少による過疎化がすすんでいる。集落には住人以上の頭身大の案山子が点在されている。その数100体を超えるそうだ。実にリアルな様子は遠景で見ると、本当の住人が農作業をしているのと見間違えるほどの見事な出来だ。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・食材図典　　（小学館）
　　・食材事典　原田孝子監修　（学研）
　　・新食品成分表２０１７　（とうほう東京法令）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

（コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果、ホウレンソウはクロンキスト分類ではアカザ科に属していたがAPG分類ではアカザ科Chenopodiaceaeは全てヒユ科に統合されアカザ科は消滅したため、ウレンソウの分類はヒユ科Amaranthaceaeホウレンソウ属Chenopodiumになった。

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