ビート Beet

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上・中：武田薬品　京都薬用植物園ビートの花
下：ビートの根

ビート Beta vulgaris Linne var altissimia Doll
　　真正双子葉植物 Eudicots＞中核真正双子葉植物 Core Eudicots
　　　ナデシコ目 Caryophyllales
　　　　ヒユ科 Amaranthaceae　フダンソウ属 Beta（←アカザ科 Chenopodiaceae）

英名：シュガービート　suger beet
日本名：サトウダイコン、テンサイ(甜菜)

砂糖の原料植物

生薬名　　：テンサイコン（(甜菜根)
利用部分　：根、薬用
利用　　　：砂糖を採取
名前の由来：古代ローマ人はケルト語で“赤い”という意味のベータの名で呼んでいた。
　　　　　　そのまま属名になっている。
　　　　　　日本名、サトウダイコンはダイコンのように太く白い根から砂糖が採ることから。

原産地
地中海沿岸から中央アジア原産の越年草　

特徴
イネ科のサトウキビとともに砂糖を採取するため栽培される重要な作物。サトウダイコンとダイコンの名がつくがアブラナ科のダイコンとは別種、ホウレンソウなどと同じヒユ科。
草丈、６０～１００ｃｍ程になる。葉は長い卵形。縁は波うっている。初夏花茎を伸ばし黄緑色の小花を密生した花穂をつける。根は紡錘状に肥大し、輪切にすると中は白い。

ビート類には砂糖用のSugar Beet Group(サトウダイコンが該当)の他、根菜用でGarden Beet Group(テーブルビートが該当)と呼ばれるグループと葉菜にされるLeaf Beet Group(フダンソウ、スイスチャードなどが該当)になどがある。

ビートの栽培の起源は紀元前４００年から６００年にさかのぼるほど。北ヨーロッパでは家畜用の飼料として栽培されてきた。
ビート類が甘味を含んでいることは早くから認識されていたが、砂糖を採るビートが育種的に選別されるまでこれらは混合栽培されてきた。ビートから砂糖を得る方法は当時プロシャといわれていたドイツで１７４７年に、白い太い根をもつビートから砂糖を得るのに成功した。ドイツ、フランスなどの国々はこの可能生に着目した。中でも皇帝ナポレオンは、サトウキビに代わるものとしてビート（テンサイ）栽培を奨励した。

根には糖分が１４～１７％含まれる。春に種を播くと、１０～１１月にかけて1個が６００～１２００ｇ位になる根が収穫できる。これを細断し、温湯に浸し糖分を浸出させる。糖分は結晶と糖蜜に分離され、結晶は純度の高いグラニュー糖になる。残りかすは家畜の飼料に、副産物の糖蜜からはアルコールを作ることができる。しかもイネ科のサトウキビと異なり、寒冷地に適応し栽培にはサトウキビ程の労働力は必要とはしないので、ビートはロシア、ウクライナ、ポーランド、ドイツ、フランスなどの国で栽培が普及した。

日本への移入は明治３年、東京で試験栽培が行われ、後、北海道紋別で官営の製糖所が設立された。以降北海道はビートの主な生産地となり現在は十勝、網走地方を中心に栽培が行われている。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物、（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著（広川書店）
　　・食材図典（小学館）
　　・食材事典　原田孝子監修（学研）
　　・花と樹の事典　木村陽二郎監修（柏書房）
　　・世界史をかえた５０の植物　ビル・ローズ　柴田譲治訳（原書房）

（コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
その結果、クロンキスト分類ではアカザ科に属していたがAPG分類ではアカザ科Chenopodiaceaeは全てヒユ科に統合されアカザ科は消滅したため、ビートの分類は、ヒユ科Amaranthaceaeフダンソウ属Betaになった。

ビート Beet

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