エゴマ(荏胡麻)

商品写真
上・中:京都府立植物園 エゴマの花
下:大阪薬科大学薬用植物園 エゴマの葉

エゴマ(荏胡麻)Perilla frutescens Britton var .japonica Hara
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>キク類Asterids>シソ群Lamiids
   シソ目Lamiales
     シソ科Lamiaceae シソ属Perilla

別名:アブラシソ(油紫蘇) アブラエ(油荏) ジュウネン(十稔)


生薬名  :エ(荏)
利用部分 :①種子 ②葉 
利用   :①食用 エゴマ油製造 ②食用 
名前の由来:朝鮮ではYimといっていた呼び名がエに転じこれにゴマがついてエゴマになった。
      食べると十年長生きするという言い伝えがあり、「ジュウネン」とも呼ばれる。

インドの高地から中国中南部などが原産。日本へは朝鮮半島経由で天平時代(8世紀中ごろ)入ってきた1年草。しかし弥生時代の遺跡からエゴマの種子が出土しているので、当時からすでに渡来し栽培されていたと考えられる。
奈良時代以降は各地で栽培され鎌倉、室町時代には京都の油商人が大山崎油座を組織し大いに繁栄したという。現在東京に「荏原」という地名があるが、かつてのこの地方でエゴマが栽培されていた名残を示している。

草丈は80cm前後、外観はアオジソによく似ているが茎葉がやや大きく毛も多い。シソのような香気はなく、やや不快なにおいがする。夏に葉腋や茎の頂部から穂状花序をだし、白い小花を咲かせる。花後、シソよりやや大きい径2mm程の種子が実る。

種子を絞った油、エゴマ油は古くは灯油に、また乾性度が強いことから主に、油紙、雨合羽、提灯などの防水加工に使用された。しかし現在、防水加工はより安価な中国産のキリ油(シナアブラギリの種子から搾油)が多く用いられるなど、諸需要は衰退した。一部は野生化しているのが見られる。

また特異な匂いから食用には不向きとされていたが、エゴマ油が人体に不可欠な必須脂肪酸リノール、リノレン酸の含有率が高いことから動脈硬化を予防し、血液循環を良くする働きが期待され、食用としての価値が注目されてきている。

生の葉はアオジソ(オオバ大葉)によく似ているが、香り、味は全く異なる。や青臭い特異な香りがする。韓国料理で生葉の香りが好まれ、サンチュなどと同様、焼き肉などの肉料理、春巻きを包んで食べる野菜に用いられる他キムチやナルムの具材にされる。

主な成分
 ・種子
   脂肪油:パルミチン酸およびステアリン酸12%、油酸4%、リノール酸53%、
       リノレン酸23%
 ・葉
・  精油成分:ペリラケトン、エゴマケトン

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)  
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)  
  ・食材図典 (小学館)
  ・食材事典 廣田孝子監修(学研)

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