シャクヤク（芍薬）
シャクヤク（芍薬） Paeonia lactiflora Pall.
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots
ユキノシタ目Saxifragales
ボタン科Paeoniaceae (←キンポウゲ科 Ranunculaceae ) ボタン属Paeonia
名前に薬がつくほどの薬効と豪華な花
生薬名 ：シャクヤク （芍薬）
利用部分 ：根
利用 ：日本薬局方生薬 漢方処方用薬、
名前の由来：芍薬の芍は灼とも旁が同じで「かがやく様に」の意味で、輝くように美しい花をした
薬用植物からの名。
日本薬局方収載の生薬であり、また漢方薬処方に無くてはならない原料生薬の一種。華麗で豪華な花の姿から古来より「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と美人のたとえに引用され、すらりとした気品のある花は観賞用に親しまれているが、
元々は薬用として日本に渡来したもの。
中国、シベリア、朝鮮半島原産の多年草で、花期は初夏。根は漢薬 シャクヤク（芍薬）でその使用頻度は極めて高く、漢方２１０処方中６９に配合されるなど漢方の重要な要薬となっている。
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」女性の立ち姿、美しさを表現するのに例えられるシャクヤクは婦人薬には必ず配合される。また筋肉の痙攣からくるひきつり“こむらがえり“を和らげる鎮痙、疼痛の緩和にも用いられる。
Photo：島根県 大根島 ボタン、シャクヤク畑
朝鮮人参栽培で有名な島根県、大根島でのボタン、シャクヤク栽培畑の風景を写したもの。牡丹と芍薬の両方を植えている。牡丹は４月下旬から５月の初めが花盛り、芍薬は少し遅く５月中旬ごろが見ごろとの事。花の盛りは見事な花々で一面の畑が彩られる。しかし薬用にするためには根を肥大させる必要があり、全ての花を摘み取らなければならない。残念ながら花は摘み取られていた。
主要成分と薬効
・モノテルペン配糖体とその関連化合物：ペオニフロリン、オキシペオニフロリン、
アルビフロリン
・ペオニラクトン
・フラボノイド（ペオニン）
・ガロタンニン
・その他、安息香酸などを含む、
主な効果・薬効
鎮静、鎮痛、鎮痙の緩和に、抗炎症作用、平滑筋弛緩作用のために用いられる。
多くの鎮痙鎮痛薬、婦人薬、冷え性の薬、風邪薬、皮膚疾患用薬、消炎排膿薬とみなされる処方に配合される。
代表的な配合漢方処方例
・当帰芍薬散（とうきしゃくやくさん）
・芍薬甘草湯（しゃくやくかんぞうとう）
・柴胡桂枝湯（さいこけいしとう）
・葛根湯 （かっこんとう）
・桂枝湯 （けいしとう）
・枝加芍薬湯（けいしかしゃくやくとう）
・大柴胡湯 （だいさいことう）
・十全大補湯（じゅうぜんだいほとう）
・小青龍湯 （しょうせいりゅうとう）
・加味逍遥散（かみしょうようさん）
・四物湯 （しもつとう）
・当帰四逆湯（とうきしぎゃかくとう）
・ヨクイニン湯 などに汎用される。
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・第15改正 日本薬局方解説書 （広川書店）
・最新生薬学 刈米達夫著 （広川書店）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 （広川書店）
・生薬単 原島広至著 （株式会社エヌ・ティ・エス）
・薬になる花 田中孝治 (朝日新聞社)
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
(コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果、従来キンポウゲ科に属していたボタンやシャクヤクはボタン科としてキンポウゲ科から独立した。
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）