リンゴ（林檎）
リンゴ（林檎） Malus pumila Miller
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
バラ目Rosales
バラ科 Rosaceae リンゴ属 Malus
果物の代表“apple”
糖尿病治療薬 ＳＧＬＴ２阻害薬のリード化合物 フロリジンが樹皮から単離
利用部位 ：�＿娘臓 ´⊆�皮
利用 ：�／�用（生食、加工品の原料）�∪縮�起源物質抽出
名前の由来：林檎は中国語、果実が甘いので林に鳥がたくさん集まったところから、「林檎」
「リンキン」や「リンゴン」などと呼ばれ、それが転じて「リンゴ」と呼ばれるよう
になったとの説。
アダムとイブが、禁断の実”リンゴ”を食べて、楽園を追放された話が旧約聖書に出てくる程、リンゴの栽培の歴史は古い。原産地は欧州、西アジア。ここからアジアなどの各地に広まったと考えられている。日本での栽培は明治以降、欧米から多数の品種が導入されてからで、主に青森などの東北を中心に行われた。
「1日1個のりんごで医者知らず」と昔から言われる程、栄養価に優れた果物として、私たちの食生活を豊かにしてくれている。
栄養成分としてはペクチンなどの食物繊維やカリウム、ビタミンCをはじめ、老化のもとといわれる活性酸素に対する抗酸化作用があるポリフェノールの一種アントシアニンを皮に含んでいる。
その他 リンゴの糖分は果糖とブドウ糖が主で、エネルギーに変換されやすい。また、乳酸の生成を抑えるクエン酸やリンゴ酸、酒石酸などの有機酸を豊富に含んでいる。日本では大部分が生食されるが、ヨーロッパやアメリカでは古くから加工品としての消費が多く、ジャム、マーマレード、ゼリー、ジュース、シロップ、リンゴ酢などに加工される。
リンゴは消化を助け、下痢を防ぐ効果があるといわれており、リンゴ酢と蜂蜜をあわせた飲みものは保健飲料として有名だ。
リンゴは果実の効用だけでなく、近年の注目の的は、リンゴの樹皮から画期的な新薬が開発されたことだ。糖尿病治療の新薬 ＳＧＬＴ２阻害薬といわれる一連の薬で２０１４年４月から製薬会社から相次いで発売された。
発端はリンゴやナシの樹皮に含まれる配糖体フロリジンという物質。果物や野菜に多く健康に良いとされるポリフェノールの一種。
1835年フランスの化学者によってリンゴの樹皮から「フロリジン」という物質が単離された。
フロリジンには、解熱作用があり当初はマラリア薬として期待されていた。また古くからリンゴやナシの樹皮を投与すると、尿糖が検出されることも知られていた。1886年に尿糖を誘発することが明らかにされると、糖尿病治療薬への期待が高まった。
元々糖尿病は糖が血液中に過剰にあることから起こる糖毒性による血管ヘのダメージが元凶と考えらいる。腎臓が糖を再吸収するのを妨げれば、過剰な糖が再度、体に戻ってこないのではないか、との考えからフロリジンの尿糖誘発が発見後100年の時を経て注目されてきた。
フロリジンそのものでは、小腸のβグルコシダーゼで容易に加水分解されてしまう。そのため有効濃度を維持できないなどの問題点があった。
各製薬会社はフロリジンを基に化学構造式にいろいろ工夫を凝らし、安定性とＳＧＬＴ２に選択性を持たせたＳＧＬＴ２阻害薬を開発し、新たな糖尿病治療薬を発売している。
ＳＧＬＴ２阻害薬とは
選択的ナトリウム-グルコース共輸送体２
（sodium glucose co-transporter ２：ＳＧＬＴ２）阻害薬のことで
糖尿病は血液中の糖の濃度が高すぎることでおこる糖毒性の弊害により、主に血管系に障害が起こる病気。腎糸球体でろ過されたグルコースは尿細管で再吸収をされる。しかし糖尿病の人は過剰に糖（グルコース）があるのだから、再吸収させないようにすれば血糖が過剰になるのを防げるのではないかという発想。グルコースの再吸収を担う輸送体がナトリウム-グルコース共輸送体（sodium glucose co-transporter SGLT）。ＳＧＬＴはＳＧＬＴ１ とＳＧＬＴ２の２種類があり、ＳＧＬＴ２は主に腎臓に、ＳＧＬＴ１は腎臓と消化管の両方に存在するため、消化管への影響の懸念のないＳＧＬＴ２を選択的に阻害する薬剤によって再吸収を妨げ、過剰な糖による糖毒性の悪循環を絶つという考えの画期的な新薬がＳＧＬＴ２阻害薬。
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・花と樹の事典 木村陽一郎 監修 （柏書房）
・山渓カラー名鑑 日本の樹木 （山と渓谷社）
・製薬会社 インタビューフォーム
・食材事典 原田孝子監修（学研）
・新食品成分表 ２０１７年(東京法令出版株式会社)
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
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