セイヨウイチイ（西洋一位）
セイヨウイチイ（西洋一位）Taxaceae baccata Linne
種子植物門 裸子植物亜綱 Gymnospermae
マツ亜綱 Pinidae ヒノキ目Cupressales
イチイ科 Taxaceae イチイ属 Taxus
別名：ヨーロッパイチイ European yew
抗がん剤 パクリタキセル原料物質抽出
利用部分 ：葉 小枝
利用 ：抗がん剤 パクリタキセル
名前の由来：西洋産のイチイの意味
イチイ（一位）は位階の正一位、従一位などの高官が持つ笏をこの木で作ったこと
による。
ヨーロッパから西アジア、北半球の温帯に広く分布するイチイ科の常緑針葉樹。ヨーロッパに唯一自生するイチイ属であり、ヨーロッパに見られる種(セイヨウイチイTaxaceae baccata Linne)とアメリカに見られる種（タイヘイヨウイチイTaxus brevifolia） がある。
雌雄異株。樹高は１０〜１５ｍの大木になる。イギリスの教会では良く植えられている。材はかって弓材としてさかんにつかわれた。庭園樹や材の有用性も無論だが、セイヨウイチイは抗癌剤、パクリタキセルの原料物質が抽出された樹として有名だ
１９７１年（昭和４６年）西洋イチイの針葉や小枝樹皮から抽出された10-デアセチルバッカチン�靴鮓粁舛箸靴胴慨盧泪僖�リタキセルを半合成している。パクリタキセルは細胞分裂を阻害することでがん細胞の分裂を阻害し抗癌作用を発揮する。
現在、卵巣癌、非小細胞性肺癌、胃癌、子宮体癌、乳癌など広範な固形癌での標準治療薬として医療の場に供されている。
当初は北米西部の山地原産のイチイ科タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia )に含まれるジテルペン化合物が有望な抗癌薬といわれながら、得られる量が微量であったためその供給上の問題から市販は遅れていた。一方似た化合物を十分な量含む種を探した結果、同属のセイヨウイチイ（ヨーロッパイチイ）から10-デアセチルバッカチン�靴�発見された。西洋イチイから10-デアセチルバッカチン�靴鮹蟒弌△刑，譴鵬蹴愿�に化合物を合成することでパクリタキセルの合成に成功した。現在では安価で大量に生産できるようになっている。
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 （広川書店）
・製薬各社インタビューフォーム
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）